| s-5 合宿二日前 女三人寄れば… |
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(公園でハルカ、華恵が台本の読み合わせをしている。そしてちょうど藍がジュースを買ってきたところで一休憩を入れる。そこから会話オン。) |
| ハルカ |
「ふー。喉からから。」 |
| 華恵 |
「私も。」 |
| 藍 |
「はい、ハルカさんはオレンジジュースで、華恵さんはりんごジュースでしたね。」 |
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(藍、ジュースを差し出す。果物系のジュース。藍だけコーラ。) |
| ハル・華 |
「ありがとう。」 |
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(三人、缶を開け一口飲む。満足そうな表情。) |
| ハルカ |
「うー、私もコーラ飲みたい。」 |
| 華恵 |
「ハルカ、コーラ好きだもんね。」 |
| 藍 |
「あっ、私のあげましょうか。」 |
| ハルカ |
「うんん、いい。役者は声が命だから、炭酸とカフェインは当分の間絶つの。」 |
| 華恵 |
「喉が荒れちゃうからね。」 |
| 藍 |
「へーそうなんですか。」 |
| ハルカ |
「そうなの。…と言っても気休めだけどね。昨日今日絶っただけじゃ、あんまりね。」 |
| 藍 |
「でも、すごいですよ。何かを絶ってまで、映画に賭けてるって。あんなに部会の時怒っていたのに。」 |
| ハルカ |
「うんまあ、いまでも納得いかないけど。それで恥をかくのは、あいつのほうだからね。私は私で、文句を言われない演技をして見せるだけだから。」 |
| 華恵 |
「それに、原弘君のシナリオだもんね。」 |
| 藍 |
「?」 |
| ハルカ |
「あ、いや、監督はむかつくけど、原弘のシナリオは面白いからやる気も出るってこと。」 |
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(取り乱すハルカ、したり顔の華恵、よく飲み込めていない藍。) |
| 藍 |
「そうですよね。このシナリオ、2日で書き上げたとは思えないほど完成度が高いですよね。」 |
| ハルカ |
「うん、そ、そう、そう特に最後の主人公の独白の『彼女は消えた。夏の夜の夢のように。でも彼女が僕にくれた恋心は、夢とは違う。…それだけが僕に彼女のいた夏の日を真実と感じさせてくれた』なんて、なんか切なくなってくるよね。」 |
| 華恵 |
「うん、でも私としては、中盤に治療が進む中で、避けられない破局を感じつつもふたりがだんだんと惹かれあうところが、胸が締め付けられたな。…藍ちゃんは。」 |
| 藍 |
「私ですか…私は、初めて主人公が彼女に告白するところですね。ふたりきりの海岸で、並んで座っていたふたりに不意に訪れた沈黙、そして主人公が一言『好きだ。』と呟く。」 |
| 華恵 |
「ふーん…もしかして藍ちゃんそう言われたい人がいるとかとか。」 |
| 藍 |
「そそそそそんな人いないですよ。」 |
| 華恵 |
「その動揺、怪しいなー。」 |
| 藍 |
「そそそんなこと無いですよ。それなら華恵さんはどうなんですか。いないんですか。」 |
| 華恵 |
「私はいないね。」 |
| 藍 |
「ほんとですかぁ。」 |
| ハルカ |
「いや、これがホントのことなんだよね。信じられないけどね。」 |
| 藍 |
「そうなんですか。信じられないなー。」 |
| 華恵 |
「昔付き合ったことはあるけどね。でも、いまいち人を好きになるってわからなくって、すぐに別れちゃった。」 |
| 藍 |
「…私には、よくわからないです。」 |
| 華恵 |
「ま、『好き』は人それぞれだからね。それでいいんじゃない。ハルカもね。」 |
| ハルカ |
「な何いってるの華恵。」 |
| 藍 |
「ハルカさんも、誰か好きな人いるんですか。」 |
| 華恵 |
「あなたもいいかげん鈍感ねー。原弘君よ。原弘君。」 |
| 藍 |
「えーそうだったんですか。だって、いつも悪口ばかり言ってたし、けんかばかりしていたじゃないですか。」 |
| 華恵 |
「いや、あそこまであからさまだとかえってわかるでしょ。好きな子をいじめたくなる、小学生の恋愛表現よ。それによく思い出してみてよ、確かに会う度ケンカしてたけど、特に言い争っていたのは一緒にいた、広二君とでしょ。」 |
| 藍 |
「…確かに。…ふーんーそうだったんですか。」 |
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(ハルカ、表面上平静を取り繕っている。) |
| ハルカ |
「はいはい、休憩は終わり。読み合わせするよ。」 |
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(華恵、しかたないな、といった顔つきでハルカを見る。そして、台本を取る。) |
| 華恵 |
「じゃ、どこから始める。」 |