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(夜の防波堤。正面には砂浜と大きな月。千裕、深刻な顔で、携帯を見ている。天子その後ろで、哀しそうな顔で立っている。千裕、人の気配に気づきを振り返る。) |
千裕 |
「天子、いつ来たの。」 |
天子 |
「ちょうど今来たところ…ところで千裕相談って?」 |
千裕 |
「孝のことなんだ。」 |
天子 |
「…まだ、切れてなかったんだ。…やめなよ、千裕には似合わないよ。」 |
千裕 |
「…うん…でも、どうしようもないの。だめだとわかってる、悪いことだとも思う…でも…」 |
天子 |
「…なにそれ、ハッキリしないなぁ。」 |
千裕 |
「天子は、人を好きになったことが無いからわからないんだよ。」 |
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(天子、はっとした表情、そして苦渋の表情に。千裕は恋の苦しみについて語る。上の空でそれを聞く天子。天子、小声でつぶやく。) |
天子 |
「わたしは、わたしは…千裕が」 |
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(千裕気づかない。不意に二人に声がかかる。) |
康煕 |
「あれぇ、先輩たちこんなところにいたんですか。」 |
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(康煕、その他部員、一緒に現れる。なぜか動揺する千裕。) |
千裕 |
「み、みんな、どうしたのこんな時間に?」 |
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(康煕、手に持っていた花火を示す。千裕、はっとしてなんかうずうずした表情になる。) |
康煕 |
「花火をしようかと思って。…そういう先輩たちだって、なんでこんなところにいるんです?」 |
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(千裕、聞かれたくないことを聞かれ、気まずい雰囲気。) |
千裕 |
「うん、あぁ…」 |
天子 |
「月がきれいだから。」 |
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(みんな納得したようなしてないような表情になる。要、康煕を押しのけて前にでる。) |
要 |
「先輩たちも一緒にやりませんか、花火?」 |
天子 |
「そうね、わたしはいいけど、千裕、どうする?」 |
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(千裕、なんか燃え上がっている。) |
千裕 |
「やる。花火と聞くと、なんか、こう胸の奥が燃え上がるんだわ、私。」 |
原弘 |
「なんですか、それ。」 |
天子 |
「お祭り好きの習性ね。」 |
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(みんな納得したような表情。千裕だけちょっと憮然としたような表情) |
千裕 |
「そんなことはいいから早くやりましょう。明日は忙しいんだから。」 |
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(取り繕う千裕の様子がおかしくてみんな笑う。) |
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(砂浜に行って、花火をしている。楽しそうな面々。はしゃいでいる千裕。その様子をじっと見ている天子。要、その様子に気づく。) |