シネマな人々 インターミッションU



U>突然の凶報
(部屋で皆それぞれの仕事をしている。達也、広二は今日撮った映像の確認。藍と秋生も後ろからそれを見ている。原弘は康煕、朱美、華恵、ハルカに明日撮るシーンの打ち合わせ、千裕は会計をしながら天子とおしゃべりをしている。携帯が鳴り出す。いっせいに皆自分の携帯を探し出す。華恵が自分の携帯を取る。)
華恵 「もしもしカズ?どうしたの?」
(皆さっきまでやっていた作業に戻る。華恵、話しながら部屋から出る。)
華恵 「…よく聞こえない、母さんがどうしたの?…」
(驚愕の表情の華恵。)
華恵 「うん、わかった、わかったから…ばか、情けない声出さないの男の子でしょ。今あんたが泣いたらチエはどうするの…明日の始発に乗って帰るから、戻るのは昼過ぎになるけど、それまで母さんとチエをお願いね。うん、じゃあ、切るよ。」
(華恵、携帯を切る。部屋に戻ると皆が心配そうな顔で見ている。)
ハルカ 「お母さん、どうかしたの?」
華恵 「うん、過労でちょっと倒れただけだから。」
(藍、心配そうに、)
「それってちょっとのことなんですか。」
華恵 「たまにあるから…どっちにしても、この時間だと電車がないし身動き取れないし、心配してもしょうがないでしょ。…それで、部長、申し訳ないんですけど。」
千裕 「しょうがないわ…明日の始発?」
華恵 「はい。」
千裕 「…問題は代役をどうするかね。幸いあなたのシーンはほとんど取ってないからまだ間に合うけど…」
華恵 「藍ちゃんで大丈夫だと思います。」
(驚く藍。)
華恵 「私とハルカの練習にもずっと付き合っててセリフは大丈夫だと。」
千裕 「そうなの藍君。」
「えっ、あ、セリフは入ってますけど…」
(藍、困惑する。ふと広二を見る。広二は困った顔をしている。それを見て決意する。)
「やります。やらせてください。」
千裕 「…これで配役はOKね。(相手を見ながら)達也君、今から撮影計画を練り直すわよ。広二君は撮ってきた画のチェック。差し替えの必要ある画を調べて。藍君は原弘君と打ち合わせ。天子、いっしょに衣装の丈を直して。要君、荷物に時刻表があったわね、華恵君に渡して。ほら、華恵君もぼうっとしてないで荷造りする。みんな、実質撮れるのは明日だけなんだから、巻いていくわよ。」
天子 「相変わらず逆境が好きね。」
千裕 「まあね、生きてるって感じだわ。こんなに燃えたのはおととしの部再建のとき以来だわ。」
(燃えている千裕を眩しそうに見ている天子。その様子を見ている要。)