夏の雨 前編 2/3
結局、家に着く前に雨は降り出し、帰宅したときにはつま先までずぶ濡れになっていた。
夏の雨はいつもは暖かくて心地良いのだけれど、今日の雨は冷たくて私を凍えさせた。
食材とスイートバジルの鉢を玄関に残し、とりあえずタオルを求め私は部屋に急いだ。
着替えて、お気に入りのタオルで濡れた髪をぬぐい、ポットに入れてあった夏摘みダージリンを一杯飲む。
そこでやっと人心地つく。
雨が屋根をたたく。
音が部屋に響く。
カーテンを押し広げる。外は依然、厚い雲と激しい雨に包まれていた。
雨が入らない程度に窓を開けると、湿った風が吹き込んできた。
部屋の隅にたまっていた暑気は流され、部屋には雨の匂いが満ちた。